横浜建築都市学

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建築講座3レポート「身体的なモビリティ」

テーマ:2008年度建築講座:「(建築)デザインの公共性」
日時:2008年6月13日(金)18:00〜20:30
講師:布垣直昭(トヨタ自動車株式会社東京デザイン部長)
会場:横浜市開港記念会館 講堂
主催:Y-GSA+横浜市

今回の講義のテーマは"デザインの公共性"だ。ゲストである諸橋氏はトヨタ自動車の東京デザイン部署の方である。氏はテーマからさらに"将来のモビリティと都市環境"というタイトルを掲げてお話をされた。
ト ヨタ自動車は言わずと知れた自動車メーカーだが、車のデザイン・開発をする中でも様々な分野の人間と関わっているという。建築や都市の仕事をしている人間 との関わりも多いそうだ。氏によると、それぞれが分野で分かれるのではなくていろんな分野の混じり合いの中でよい開発が生まれるという。
  新しいモビリティについて考えるとき、現在は環境問題への問題意識を避けての開発は考えられないような時代だ。近い将来、環境はどんどん変化しガソリンが なくなっていくことも考えられる。しかしその環境悪化が問題視されている状況をポジティブに考えると、今はモビリティを変えて行くチャンスのタイミング だ。なぜかというと、一昔前であれば、電気自動車や一人用の車などを提案しても今のようには社会に相手にされなかったという。しかしエコという言葉が必要 にさしせまられている現在こそ、動力源、モビリティ源が変化するチャンスなのだ。
 講義の中で、次世代のモビリティとしてトヨタ自動車が提唱する一人用のモビリティ"i-real"の紹介が行なわれた。これは車椅子くらいの大きさをしていて建物の中に入ってもおかしくないモビリティだが、いざとなれば原動付自転車くらいのスピードはでるという。とにかく簡単で、免許のない人でもすぐ乗れてしまうらしい。
さらに、一人用モビリティとしては"SEGWAY"も知られている。これら双方が一般的に普及すれば、一人でのちょっとした買い物などの近距離移動のためにわざわざ4人 乗りの一般車を動かす必要もなく、駐車場の利用もより少しのスペースで可能になる。しかしこれらは持ち運びをするには少し重い。持ち運びが簡単で、ちょっ と歩くのには遠いかな、というときに簡単に乗り降りできるようなスポーツや遊びでも乗れるものを今後開発したいと氏は語った。
  一人用モビリティは現在は公共道路を走ることができない。それは安全面の問題だろう。現在の道路の利用目的に依る種別は、高速道路と一般道程度である。し かし例え現在の一般車両同士でも、ほんのそこまでしか行かない人と東京から九州/四国まで行く人が同じ道路を走っていることは罪悪ではないだろうか。それ は電車の線路の上を人が歩いているのと同じ危険性を都市が抱えているようなものだ。
モビリティの多様化の実現可能性が高まると同時にインフラの整備が求められる。車も、大人数用と1人 乗りやせいぜい2人乗りとでレーンを分ければ、小人数用モビリティと歩行者が一緒に移動していても問題ないだろう。人間の感覚のエリアだけを地上に残し、 他のものはいっそのこと地下に埋めるたり別のレーンに分けるなどすれば、もっと効率も良くなるだろうし、住みやすくもなるのではないだろうか。
さらに移動距離に合わせたモビリティの提唱は、近距離、中距離、長距離とそれぞれの圏内に対しての移動がスムーズに行なわれることにつながり、結果的に都市集中型の社会構造を変えるきっかけにも成り得る。
  一人用モビリティのお話に続いて、現在の自動車で技術的に搭載可能な安全面のシステムの紹介や、技術に関連してロボットのお話があった。自動車の自動操縦 システムや、生活をサポートするような人型ロボットは現在技術的には可能だという。例えば高齢者が家族に頼れない場合に、機械が助けてくれるということも 考えられるのではないかというところから研究が進んでいるようだ。そんな社会は寂しすぎると感じるのだが、現実としてそういった状況がある。普段の生活に 入ってくるロボットは機械らしいものよりより人間らしいものが人間の感覚的にも適しているようだが、倫理的にも機械が人間に近すぎても遠すぎてもいけない という難しい境界があるようだ。確かにロボットは便利で、かつ人類の夢であったりもする。しかし生活のサポートの全てを人型のロボットに頼ってしまうので はなく、あくまでも補助としての機械であってほしい。やはり建築や都市の構造で生活は創造されると信じたいし、それができる建築家を目指したいと思った。
 機械と人間の生活との関わりはバランスが重要だ。その中でも移動手段として現在の技術を生かし、それが新しい都市構造を生む可能性は多いに期待できる。時間と距離を操作できる新しい移動手段は人間の生活と生活空間を変える新しい要素になるだろう。
(徳野由美子)

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