横浜建築都市学

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建築講座5レポート「僕らの未来はどこにあるのか」

テーマ:2008年度建築講座:「建築批評」
日時:2008年10月10日(金)18:00〜20:30
講師:松山巌
会場:横浜市開港記念会館 講堂
主催:Y-GSA+横浜市

「建築の新しさとは何だったのか。」第一回の伊東豊雄先生による「建築の新しさとは何か。」と絡んだ形でこの講演会のテーマが設定されている。
伊東先生が、純粋な空間の力、新しい建築の可能性を示してくれたのに対し、松山先生は、歴史学的な視点を以て、新しさを求める先に未来はないという現実を突きつけ、建築家を目指す僕らに警鐘を鳴らす。
 松山先生は唐招提寺から話を始め、その歴史を調べていくと日本固有のものではなく、他の文化と交流しながら更新を繰り返してきたと述べる。つまりそれは新しさを求めての更新ではないということだ。
話 は明治時代に入る。文明開化を経て、「科学技術・メディア・資本主義・人々の欲求」が新しいことに価値をもたらす。松山先生はここに「新しい建築」という 概念の現れを見る。科学技術・情報は新しい事こそがその価値であり、メディアは新しさを広告し、人々は新しさを欲する、そして資本があれば新しいものが手 に入る。資本主義の社会の中で、新しさを欲する人間の欲望は自己増殖しながら現代へ続き、その行き着く先が超高層ビルであると述べる。
松山先生の論理はとても鮮やかで、僕らがなんとなく感じている超高層ビルへの危機感に対して、歴史の流れの上にある現実を突きつけると共に超高層ビルを真っ向から批判する。
そして、松山先生は「新しい建築」の行き着いた先とした超高層ビルの孕んでいる問題を示す。緩和政策によってもたらされる空間の資本化、災害時の問題、ヒートアイランドの問題、そしてさらには建築にデザインがなくなるという。
 時代の流れが超高層ビルに行き着いたのだとしても、僕らの日々考えている建築の未来はまた別のところにあるはずだ。
  松山先生の述べられるように、時代の流れを俯瞰的に見たときには、「新しさ」の行き着く先は超高層ビルであるかもしれないが、建築家や僕ら学生はそのよう な建築を目指しているのではないはずだ。松山先生はあくまで今という時代のスピード、メディア、資本、欲望に絡め取られた新しさの先に未来はないと言って いるのだ。そして、建築の6つの規則を提示し、その中で、10年20年後の時代においても耐える建築が未来を創っていくといった事を述べる。
  僕らは、社会をなんとか変えて見せよう、素晴らしい未来を創り出そうと毎日スタジオでもがいている。そして、同時にその情熱は「新しい建築」「新しい風 景」「新しい何か」を求めてしまう。僕らは伊東先生の示すような建築の力、新しい建築を信じながら、一方で松山先生の述べた新しさの先の危険性を自覚し、 未来を見据えなければならない。新しい建築を求める創造の情熱と、現実と未来の社会を冷静に見定める目をもたなければならないのだ。
 「新しい建築」とは果たしてなんなのか。その答えはまだ見えそうにないが、僕らは自らの創る建築を信じて前に進むしかない。その先の未来にはじめてその建築の果たした役割が見えてくるのだろう。「建築をつくることは未来をつくることである。」これはY-GSAの掲げるマニフェストだ。ひとまず、この言葉を信じて突っ走ってみようと思う。

(田中裕一)

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