
テーマ:2008年度都市講座:「都市の行動学」
日時:2008年11月28日(金)18:00〜20:30
講師:多田宏行
会場:横浜市開港記念会館 講堂
主催:Y-GSA+横浜市
「今 だからやれることはたくさんある。」という言葉が非常に印象的な講演だった。講演の中で何度も繰り返し強調していたこの言葉は、三井不動産という現実とリ アルに向き合っているディベロッパーとして社会と戦っている人の実感として語られてるということが私を深く驚かせた。講演は今後の街づくりについて2つの 軸によって展開された。一つは中国を中心とした東アジアに視点を向けた街づくりについて、もう一つは東京ミッドタウンという現実と向き合った実感に基づく 街づくりについて。
一 つ目は東アジアに視点を向けた街づくりについて考えることは今後の日本の街づくりを考える上で避けては通れない命題であると多田先生は語られた。中国の年 間訪問者数は4000万人を超えることを考えると、日本も東アジアに目を向け、中国を中心に東アジアを含めて議論することが今後必要となる。 日本の1億2000万人の中でだけ考えるといった鎖国的な考えでは出口が見えなくなってきてしまうが、 イギリスとヨーロッパ大陸の関係と同じように日本と東アジアの関係を捉え直すことがこれから重要である。 中国やアジアとの関係や交流から街づくりや建築を考えていくことは今やらなくてはいけないことだし、今だからできることである。
二つ目は東京ミッドタウンという現実をふまえたうえでの今後の街づくり。ディベロッパー建築に携わる職業の中で最も都市と向き合わなければならないという職であることに起因する。ディベロッパーの建築家に対する見方が変化していることである。 今 からディベロッパーに求められる建築家はコストを削減するのだけでなく、現実を受け入れながらも建築によって生み出されるメリットで夢を見せれる建築家で あるといわれた。デメリットの妥協が現実の中ではどうしても出てきてしまう。その中でメリットを提示できる人を求めているのだと。それは東京ミッドタウン の成功は建築家の介入なしではありえなかったということによる。建築家として街づくりに関わっていくことやこれからやれることだし、そういうことを考えら れる人を現実も求めるようになったということである。
Y- GSAの考えでは建築と同時に都市を考えることを前提としている。私が前期受講した北山スタジオでは、横浜をアーバンリングとして都市と建築を再構築する ことを学び、今年の夏には、Y-GSAの取り組みの一環であるバルセロナでのワークショップに参加し、そこで観光と共生する都市を学んできた。しかしY- GSAの課題やワークショップは都市のことを建築を通じて考えるトレーニングになっているが、それが実際の社会とどう関係するのか、建築家としてどう関 わっていくのかは不透明でした。多田先生の二つの街づくりの展開は、現実とリアルに向き合って建築と都市に関わってきた人の実感で語られており、現在私が Y-GSAでまなんでいることと、建築家という職業を結びつけた。
「今だからや れることはたくさんある。」という何度も繰り返されたこの言葉には、都市と建築を今考え直す時期に来ているという現実と向き合ってきたからいえる私たちへ の激励と、建築家として建物のデザインや、構築するテクニックだけでなく、都市的な視点を持って街づくりに貢献してほしいという期待を含んだ言葉なのだろ う。街づくりはこれからの時代の命題である。それにどう関わっていくか。それを考えることがいまの私たち建築を学ぶ人たちが考えるべきことであろう。
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