横浜建築都市学

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都市講座8レポート「進化していく都市計画」

テーマ:2008年度都市講座:「ファイナンスの力」
日時:2009年1月23日(金)18:00〜20:30
講師:藁谷浩介
会場:横浜市開港記念会館 講堂
主催:Y-GSA+横浜市

講演の始めに藻谷さんは私たちに「次の二枚の写真を見てどちらの街が好きか?」という質問を投げかけた。まず一枚目の写真は、住宅や商店が混在し、建物の高さ3層程度の自然発生的な街。(東京の下町的なもの)そして、2枚目は、80~90年代にきちんと計画された高層の集合住宅が立ち並んだ街。(幕張などに代表されるもの)質問の結果は、3:1ぐ らいの割合で前者の方が人気であった。私自身も前者の方が好きであった。藻谷さん自身はそのような結果となることを予想していたかのように、これは「都市 計画の退化である」とおっしゃった。確かにその通りなのかもしれない。では計画的な街と計画的ではない街では計画的ではない町のほうが好ましいのはなぜな のであろうか。
その理由は、現在、都市を計画的に作っていこうとする場合、そこには必ず経済原理が生じるからである。経済原理とは簡単に言えば、少しでも多くの容積を確保し、経済的合理性を第一に考え、そこに住む人々のことは二の次という論理である。
 
多くの人はこのような経済原理優先の都市開発を行っているディベロッパーを勝手に悪者ように決め付けているが、実はその黒幕は地権者なのだ、と藻谷さんは指摘した。
つ まり、乱開発をくりかえしているディベロッパーもそうしなければ、ビジネスにならないから闇雲に容積率を上げているわけで、土地が安く手に入れば、容積率 に余裕を持たせ、デザインにもお金をかけることができるのである。したがって、優れた都市を計画するためには、土地の仕込み方が最も重要なポイントとなる ということである。
しかし、地権者の立場を考えれば、少しでも高く土地を売りたいと思うのは当然なのである。
したがって藻谷さんの指摘は都市の乱開発の黒幕をディベロッパーから地権者に摩り替えただけなのである。
結 局のところ、現代社会ではこの経済論理より、デザインが優先されるということは日本ではまずありえないであろう。なぜなら、日本はデザインというものに価 値を置かない社会だからである。より多くの人々がデザインの価値を認めていかない限り、藻谷さんの指摘するように日本の都市計画は退化していくだけだろ う。
 
最後に経済原理よりデザインを優先させた数少ない事例の1つとして、代官山ヒルサイドテラスについて考えてみる。ヒルサイドテラスは、あの立地からは考えられないくらい多くのパブリックスペースを持ち、そこには多くの木々が植えられ、とても魅力的な都市空間を形成している。当然、レンタブル比は低く経済的合理性には欠けている。
こ のような都市計画を可能にしたのはヒルサイドテラスのオーナーが昔からあの地域一体の土地を所有している大地主であり、事業計画自体にかなりの余裕があっ たからである。もちろん、余裕があったということだけではなく、オーナーがまちづくりに対しての理解が非常に高かったということも関係している。
このような事例を経済的余裕のある恵まれた結果として括弧にいれてしまうのではなく、経済原理を少し緩めるだけで、これほどよい環境を獲得できるという事実をより多くの人々が学ぶべきであろう。そうすることが日本の都市計画を進化させる大きな一歩となるのである。
( 鈴木俊祐 )

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