
"Transplantation"の案の旧市街と新市街地の良さを移植し合うというアイデアは、非常に明快で魅力的でした。旧市街の持っている人間スケールであり身体感覚に合ったような場所を大きなスケールの新市街地に持ち込むということは、新しい地域を作る可能性を秘めていると思います。では、果たして旧市街に持ち込むべき新市街地の要素とは何でしょうか?この案では大きな広場をつくっていますが、私は広場では無い気がします。例えば新市街の清潔感だったり、人間のスケールの大きさだったり・・・。
"Hotel/Motel"の案は、モーテルというものは非常に閉じたユニットであるため、それを使って台中の市街地をつくり直すというのは矛盾している気がします。しかしホテルが都市のロビーのように入り込んでくるのはわかるような気がします。
"Gear"の案は、都市の中の大きなギアと小さなギアを噛み合わせることで一つずつのギアの働きをコントロールし、操作するというものでした。ただ、この案ではギアをどういったかたちで建築として提案するかがわかりにくい。ギアというのはメタファーであるわけですから、アイデアをかたちとしてどう定義するかが大事であり、そこが不明瞭であったのが残念です。
"Motorbike"の案は、モーターサイクルが町の建物の中にまで入って来ています。それ自体は面白いと思うのですが、その先を考えて欲しい。バイクのデザインは今までのものなのか?既存のインフラはどのように使われるのか?がわからない。またバイクは人間の歩行速度と大きく速度が違います。そのため歩行者空間との関係についてももう少し考察する必要があるように思います。
"MRT"の案は、旧市街と新市街を新たな交通が立体的に繋ぐというものです。この案の魅力的な点はMRTが都市の色々なレベルを走るということでしょう。都市を立体的に使う良い案であると思います。車やバイクとの関係をもう少し整理すると、市街地の道路すべてに車が入り込むのでは無く、緑道や公園として道を使えるようになり、空洞化が進む旧市街地に対しての提案にも繋がるでしょう。
"River"の案は、今台中に流れている4つの分断された川を繋げて運河として利用するものです。面白い点は川や川岸を色々なレベルで使えるようにし、交通として使えると共に立体的に川を解放しています。町の生活を川と共に楽しめる。アイデアはとても面白いと思います。
最後に皆さんに伝えたいことは、もう少し街並みを変えることに対して大胆であるべきだということです。つまりそれは、もっと未来を見る目を持つということです。そういった意味で"River"の案は大きな都市の枠組みを大胆に提案したという意味では良かったと思います。大きく物事を変えることには勇気が必要です。皆さんには都市を変えるという勇気を持ってもらいたいと思います。
生々しい都市の成長の様子を肌で感じることができた、というのが今回のワークショップでの第一の感想です。すなわち、日本や東京という場にいるとリアリティを見失いがちになる、建築家の役割として都市を考えなければいけない、ということを実感できたと言えます。もっと言えば、我々建築家が今その場で本気で都市に向き合えば、そのように都市は成長していくのだ、ということです。