
設計事務所に入所し、初めて担当した建築は大学校舎でした。右も左も分からぬまま、毎日徹夜徹夜で実施設計を書き、現場に常駐していろんなもめ事に翻弄されました。建築を作るのってこんなにしんどいことなのか、でもあまりに大変だし、きっと竣工したら感動して泣いたりするのでは、と期待もしました。
しかし竣工時には期待した涙は出ませんでした。むしろ、ちゃんと使えるのか不安だらけ。ホロっときたのは2年経ってから、学生達がさもあたりまえのようにその建築を使っている様子を見たときでした。それは誰かの生活に、建築を通じて関われたという実感でした。そんな思いを今も求めて設計を続けているのかもしれません。